なぜ、美術館に行っても作品の印象が残らないのか。

ウフィツィ美術館
芸術

自宅にいる時間が長くなり、家事の要領を得てきたMaruyama da Gunmaです。

このごろはずっと家にいるのと久しく芸術作品を見に行っていないので、美術館・博物館に行きたい熱が高まってきています。

少し前から西洋美術史の本をまた読み返しています。

「この作品があるところに行ったな」という記憶はあるのですが、その作品を見てどのように感じたのかはびっくりするほど覚えていません。

ヨーロッパまでわざわざ行ったにも関わらず、なぜ覚えていないのか。

次回美術館に行く際、自分と同じような見方をしてしまっている方々にも気をつけていただけるよう、原因と自分自身の経験に続き、最後に「鑑賞の際にどうするべきなのか個人的な意見について書いていきたいと思います。

一番の原因はすでに知った情報を思い出しながら作品を見てしまっていることです。

その情報をもとに作品を見ながら答え合わせをしてしまっている状態です。

作品を見に行くにあたって事前に勉強していく方、作品横の説明を見てから作品を見る方、オーディオガイドを聴きながら作品を見る方が大半かと思います。

それにより、どうしてもその印象が強く残ってしまっているため、その見方でしか作品に対してアプローチができなくなってしまっています。

例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》を前を見ています。

あなたはこの作品が「スフマート」(陰影によって境界線をぼかすレオナルドが発明した描き方)という技術が使われると事を知っています。

実際に作品を見た時に、その知っていたことを作品を見た時に反芻するはずです。

「モナ・リザの目のあたりとかが確かに陰影が使われているな。これがあの本で言っていたスフマートかな」と思うはずです。

それで一緒に行った人に「これはスフマートが使われていて…」などと説明すれば、西洋美術史を知ってるように思われるでしょう。

自分が美術館に行くときはまさにこのような感じでした。

あらかじめ作品について少し調べ、それについての知識を仕入れていきます。
(知らなさすぎもそれはそれで大きな問題かとは思いますが…)

そして、美術館に行きます。

有名な作品や聞いたことのある作品の前に止まり、事前に知ったことを絵を見ながら確認します。

「確かに、あの本が言っているように〇〇だったな」とか「あの偉大な芸術家はやっぱり〇〇が特徴的だったな」といかにもな感想をつけてそそくさと作品の前を後にしてしまっています。

けっこうなお金を払ったにもかかわらずこれでは寂しい限りです。

図版で作品を見ているのとまったく変わりません。

では、どういった見方をするべきなのでしょうか。
(ここからはあくまで私の個人的な意見であり、提案です。参考にしていただければ幸いです。)

重要なことは、その作品の目の前に立った時に「なぜこの芸術家はこのように描いたのか。どのようなことを想定して描いたのか。」などを作品をじっくりと見ながら自分の頭で考え、その作品に対する意見を持つことだと思います。

それがあっているあっていないは重要ではありません。

その思考のプロセスが重要です。

しばらく前から「個性」が大事と言われて久しいです。

個性とはいうなれば、「どれだけ他の人と異なる独創的な考え方ができるか」どうかと思います。

我々は現代社会において、このほかの人とは違うところによって仕事を得たり、大学に入ることができたりしています。

作品を見るときにも、その人のそれまでの人生観や感性などによって抱く印象も十人十色だと思います。

なぜそこで、最終的に様々な意見の差異が出るかというと異なる思考のプロセスをしているからにほかなりません。

そして、その思考の結果が、行動として発揮されます。

そのため、作品をよく観察し、様々ななぜを考えて、仮説を立ててそれを組み合わせて納得できる結論を立てることを通して、今世の中で求められているその人だけの独創的な考え方を持つための訓練ができるのではないかと私は思います。

仕事で、ある数値を達成を目指す場合、誰しもそれに対して、仮説としてこうしたら解決できるのではないか考えます。

そしてそれが間違っていれば再度軌道修正。また新しい実行の繰り返しです。

これが効率よくできる人が、世の中で優秀な人や独創的な人と言われるわけです。

作品を見ることで、考える訓練ができ、独自性を磨くことができるということです。

自分自身次回美術館に行くときは、じっくりと観察、思考をしたいと考えています。

ただ最後に一つ注意点があるとしますと、何か考えないとと思い、作品自体の素晴らしさを堪能することを忘れないでほしいです。

素晴らしい作品は、そういった言葉で表現できる次元を超えてくると思います。

そこに無理にあれこれ理屈をつけるとなるとちょっと興ざめかなと思います。

ぜひ解説やオーディオガイドと異なる意見を持つことをおそれず、己の目を使って鑑賞していただきたいと思います。

そしてその鑑賞を通して得たアイディアが、新たな発見につながり、世の中を少しでも良くすることにつながってくれるといいなと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました m(._.)m

それではみなさん Ciao Ciao!