レオンカヴァッロ 『道化師』 「衣装を着けろ」(Vesti la giubba!)

芸術

ここのところ暑い日が続いてしまい少々参ってしまっているMaruyama da Gunmaです。

クラシック音楽を聴いているとよく耳にするけど歌詞を知らなかったり、そのオペラの話の内容を知らないということがよくありますよね?

レオンカヴァッロの『道化師』もその一つではないかと思います。この中でも特に「衣装をつけろ」はどこかしらで聴いたことがあるのではないでしょうか?

https://www.youtube.com/watch?v=Z0PMq4XGtZ4

私がはじめてこの「衣装をつけろ」を聴いたのは確か高校生くらいの時。車の宣伝で使われていました。

赤い車がビルの間を通り抜けている、その後ろでこの歌が流れていました。初めて聴いた瞬間いい曲だなとは思っていましたが、当時はそう思うだけで内容は全く知りませんでした。

素晴らしい曲は歌詞など知らなくても、十分に味わうことができます。しかし、その歌が話の中でどのように歌われているのか、またその歌詞の意味が分かると聴いた時の感動がより一層増します。

『道化師』は男女の三角関係の話。

各地を旅しながら芝居(喜劇)を見せる一行。

その座長は同じ芝居の一行の女性と恋仲です。しかし、彼女にはちょうど興業をしていた街の別の男の方に惹かれて座長に冷たくしていました。座長の方も自分の愛に答えてくれない女性に対して強くあたります。

けれども芝居が来ればその座長は喜劇俳優なので、観客を笑わせなければいけません。現在の彼は女性につれなくされまた別の男がいることを知り、芝居どころの心理状態ではありません。

さらに演じる喜劇の内容は主人公が妻を別の男に奪われるという話でした。

その座長は自身の状況と全く同じ人物を演じないといけません。

しかし劇中ではあくまで自分の本心に背いて、観客を笑わせなければいけません。

その時に歌うのが他でもないvesti la giubba です。

そのため歌詞の中で、ridi pagliaccio (笑えパリアッチョ! パリアッチョは劇を演じている時の主人公の名前)と繰り返すのです。

結末はネタバレもありますので、ここには書きません。

日本だと結構な数の人が多かれ少なかれ、自分の本心を欺きながらある意味で別の人物を演じていると思います。

本当はそう思ってないのに、同調してしまったり、本当は気が進まないのに仲間外れにされるのが嫌だから渋々飲み会に行ったりといった経験はあるのではないでしょうか?

このレオンカヴァッロの『道化師』は人間誰しもが生きていればもつ葛藤を表現しているために今日でも人気なのかもしれません。

最後に蛇足ですが、現代風にアレンジしてドラマにしても面白そうだなと思いました。

主人公を俳優を目指す若者にして、その一座でのカップルと外部からもう一人の男性との三角関係にできたら面白いかも知れません。そして、最後に演じる劇が何かしらの不倫を題材にした話にしてフィナーレに出来たらいいかなと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

気になった方は是非一度vesti la giubba を聴いてみてください!

それではみなさんCiao Ciao.