仕事をつくる

ミケランジェロ・ブオナローティ《アダムの創造》システィーナ礼拝堂 ヴァチカン
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突然ですが、光の教会をご存知でしょうか。

 

大阪府茨木市にある教会です。

 

設計したのは安藤忠雄。

 

十字架がコンクリートの壁を抜いて表されています。太陽が入ると十字架に命が吹き込まれるように光がともります。

 

その神々しさを見たいなとはずっと思うところでした。

 

ただこの教会の存在は知っていましたが、その設計者である安藤忠雄はほとんど知りませんでした。

 

 

少し前のことになりますが、彼の半生を綴った本を読みました。

 

幼少時から最近のことまで書かれていますが、印象に深かったのは高校卒業後から建築家として駆け出しまでの頃です。

 

大学に通うお金がなかったため、大学で使用する参考書を買い自宅で勉強し、その後海外を旅行し、建築に関係するアルバイトなどをしながら20代後半で建築事務所を開きます。

 

仕事を始めたばかりの当時を次のように振り返っています。

 

仕事があったわけではない。ゼロからのスタート。当時の日本は元気だったから、楽観的な思いもあったが、当然仕事はなく、冷房も暖房もない部屋で毎日、天上を見つめながら本を読んだり、「こんなものをつくりたい」と夢想する毎日だった。

(中略)

そんななかでも、空き地を見つけると、勝手に空想の建築をデザインした。所有者がわかればこういうものを建てないかと提案に行った。むろん「頼みもしないことを」と追い返される。

私は、当時から仕事は自分でつくらなけえばならないと考えていた。事務所に座っていても、仕事が向こうからやってくるわけはない。実績のない私に、依頼者など来るはずもないのだ。学歴も、社会基盤もないとは、こういうことかと痛感させられた。

安藤忠雄著『仕事をつくる』日本経済新聞出版社2012年 p.80~81

 

この本のタイトルにもなっている、「仕事をつくる」。

 

前に読んだときは、線こそ引いてあったものの、さーっと通り過ぎていました。

 

しかし、最近仕事をしている中でこの「仕事をつくる」ことの意味がわかってきました。

 

 

 

私は派遣社員です。

 

その身分の為業務の権限は社員の方と比較すると狭いです。

 

だから、社員の方が忙しくとも、守備範囲外のため一人だけ手を余らせている状況がよくあります。

 

そのたびに、もっと手伝えればなと思うことがよくありました。まだまだ自分はできるので、もっと任せてほしいと思ったし、こちらに流してもらえれば社員の方を助けることができるのにと思いました。

 

ただそうは思うものの、「権限がないから」「やったことがないから仕方がない」とそこで終わっていました。

 

私は完全に「仕事はつくるもの」ではなく、「やってくるもの」だと考えていました。

 

だから来たことを上手いこと流して、それで喜んでいるだけでした。

 

そこに程度の差はありますが、誰でもできることです。

 

私がわざわざ入り込む意味はなく、誰でも簡単に代わることができます。

 

 

お店の中で、一応担当は決まっていますがその担当だけが考えなければいけないことでもないですし、お店に関わることであれば本来一人一人が考えなければいけないことです。

 

だから、役割はあってないようなものです。

 

 

何の肩書もない、また経験もないため、待つのみでは何も任せてもらうことができない現状にようやく気付きました。

 

「仕事は与えらるものでなく、つくるもの」これが今年一番の気づきです。

 

あと残り1ヶ月になりました12月の高崎駅に帰る新幹線からCiao Ciao.

 

〈参考文献〉

安藤忠雄著『仕事をつくる』日本経済新聞出版社2012年