上毛かるたの「こ」の札
群馬県には、地元の有名な人物や食べ物などにちなんだ上毛かるたというものがある。
50音にそれぞれ名物があてがわれている。
群馬県人は小さい頃にこのカルタをすることで、群馬の有名なものを叩き込まれる。
有名どころで言うと
「れ」の「歴史に名高い新田義貞」
でしょうか。
その他にもいろいろな札がありますが、今回取り上げたいのは「こ」の読み札と関わる人物です。
「こ」 「こころの灯台内村鑑三」、そう内村鑑三です。
当時はものすごくローカルで活躍した人だったんだなと思っていました。
しかし、大学生になり彼に関する書籍を読むと明治期の偉大な思想家だったと知りとても驚き群馬県人として誇りに思いました。
内村鑑三 著 『後世への最大遺物』
さて彼の著作で有名なのは西郷隆盛や親鸞などを紹介した『代表的日本人』かと思います。
ですが、今回取り上げたいのは、『後世への最大遺物』です。
これは数十ページの本ですが、読んだ後で「生きる気力」が湧いてきました。
この本では人間が生きている中で何をして何を残していくのがいいのか書いたものです。
そもそもこの本に出会ったのは、父親が「いい本があるよ」と教えてくれたことからです。
当時就職活動がうまくいっておらず、いろいろと悩んでいる時期でした。
そういう時には「なんで生まれてきたのか」、「生きるとは何か」、「働くとは何か」といういくら考えても答えが出てこないことをしきりに考えていました。
そんなときに「この本を読めば」と言われて読みました。
大体の内容は 「各々の能力に応じてできることをせよ」 だったような気がします…
お金がある人は事業を始める。お金がない人は事業を考える。人に物事を教えることができる人は人に教える。教えることができない人は本を書く。
(だいぶ前に読んだので内容をあまり覚えていませんので、うるおぼえです…)
しかし今回重要な点は、上記の部分ではありません。
内村鑑三は、先ほどのお金もない、事業も考えられない、教えることも本を書くこともできない場合はどうしたらいいか最後に書いています。
それは
「自分の生き方を残す」
ということでした。
特に何か大きなことをしたわけではないがあの人は立派に生きたといわれる人生を送るべきだというものです。
自分も小さいころは「考古学者になって、シュリーマンのように大きな発見をして偉人の本にのるぞ」と意気込んでいました。
しかし、だんだん大人になるにつれて、もちろんできることなら世の中に大きなインパクトを与えることができることをしたいですが、自分の生き方を誰かが見てくれて一人でもいい影響を与えることができたら自分が生きている意味、生まれてきた意味は大いにあったのではないかなと思います。
世界は名もない人によって成り立っている
でも考えてみるとあらゆる場所が名もない人々によって日々支えられているのです。
自分の職場を思い出してみてください。
必ずこの人がいないとちょっと大変になるなという方々があなたの近くにもいるはずです。
その方がプロジェクトを成功に導いたとか指導が素晴らしいということは決して全国のニュースで報道されることはありません。
しかしながら、その人が行ったことやその会社での生きざまは残り、後の世代にもきっと語り継がれていくでしょう。
世の中は、決して表舞台には出てはこないけれどしっかりと自分の生き方を刻んでいる人々によって築かれています。
そういった人たちの生きざまは周りの人の中には残り、いい影響を与え続けるでしょう。
だから自分も特に能力もないのですが、この世に生まれてきた以上自分の生きざまをしっかりと残したいと思います。
それによって、誰か一人でもいいので勇気づけることができたり、前向きに生きるきっかけになってもらえればそれだけで幸せなのかなと思います。
毎日ニュースではものすごいイノベーションが生まれたことや誰かが何かで成功したといったニュースが報道されています。
それらが瞬時に世界中を駆け巡るため、人々はその成功が短い期間で達成されたものと勘違いをしています。
自分もできるんじゃないか、そうなるんじゃないかと淡い期待を抱いてしまします。
しかし、この世には日の目を見ないことのほうが多いです。
そういったこともあり。お金をたくさん持ったり、大きな企業で働いて社会的なステータスを持ちたがる人が多くなってしまうのではないでしょうか。
ですが、それが本当に自分のなりたい姿ではないのにそうしようと考えてしまっている方もいるかもしれません。
そんな方は、もう少し自分の気持ちに正直になってはいかがでしょうか。
たとえ大きなことを成し遂げなくても、あなたの生き方を見てくれている方は今いるかもしれませんし、今後現れるかもしれません。
そうなった時に、自分の生きざまで誰かが生きる希望を再び持たせることができたら、お金もあり地位もあるが全くほめられたものではない人よりもいいとは思いませんか。
自分は今26歳で、派遣社員。
まだまだ人生経験も足りないので、死ぬまでには誰か一人でもいいので
「Maruyama da Gunma ってやつがいてなんかわからないけどこの人みてたらなんかもう一度頑張ろうと思った」
と言ってくれる人がいれば自分の人生万々歳かなと思います。
こう思わせてくれた地元の偉人 内村鑑三に感謝です。