ショパンの音楽

ドラクロワ《ショパン》(ルーヴル美術館にて管理人撮影)
音楽

『戦場のピアニスト』を最近見直しました。

映画の中でショパンの曲が印象深く使用されていて、ストーリーもいいですがショパンの曲が一層映画を素晴らしいものにしています。

特に主人公のシュピルマンが最後に『バラード第1番 ト短調 作品23』を弾くシーンとても強い感情がこみ上げてきました。

シュピルマンはナチスから逃れ隠れながら生活をしていますが、最後にドイツ人の将校に見つかってしまします。

将校
お前の職業はなんだ
シュピルマン
ピアニストです
将校
なにか弾いてみろ

こんなやり取りがあった後でシュピルマンは『バラード』を弾き始めます。

そして演奏が終わると将校は立ち上がり、彼を助けることにします。

この将校の助けもあり、シュピルマンは戦争を生き延びることができました。

その将校を動かしたのは何か。

他でもない      「音楽の力」       です。

 

シュピルマンが『バラード』を選択したのはとても興味深いです。

自分はこのピアノ曲を聴くたびに「なにか人生を感じさせる曲」だなと常々思っていました。

それはショパン自身のものであり、かつあらゆる人の人生に当てはまるのではないかと思います。

 

『戦場のピアニスト』は第2次世界大戦中のポーランドが舞台。

主人公がラジオ局でピアノを弾いているシーンから始まります。

戦況の悪化とともにピアノを弾く機会もなくなり、身をひそめるように生活をはじめどんどん生活が苦しくなっていきます。

映画の中では、彼の日に日に弱っていく姿・惨状を目の当たりにし苦しみ悲しむ姿が描かれています。

 

そういった経緯もあり最後にあの『バラード』が来た時にそれまで映画で見ていたピアノを弾いている時の幸福な姿や追ってから逃げてきた壮絶なシーンが一気に思い出されました。

 

『バラード』は物語が始まるような印象的な出だしです。まさに人生がこれからはじまるような

曲の中では苦しんだりしてるんだなこの時はと感じるところやここは家族や大切な人と過ごしていて

幸せを感じている時なんだなと思う箇所が交互に繰り返されます。

そして最後に様々な感情が一気にあふれ出て命を燃やす。

人生そのものの曲だと思います。

 

シュピルマンの人生とショパンの人生、そして『バラード』が1つに重なったことでとても感動的で印象的なシーンに最後がなったと思います。

 

この曲のためにこの映画が用意されたといっても過言ではないかと思います。

 

これ以来、もし初めて出会った人にどんな人生を歩んできたか知りたいときはこの曲を弾いてもらうのが一番じゃないかと思うよになりました。

まあ世界中の人がこの『バラード』を弾くことができる能力があったとしたらの前提ですが(笑)

きっと様々なことを経験した人でないとこの曲に深みは出てこないと思います。

 

ピアノだけで、しかも10分くらいで人生を集約できるショパンはやはり偉大だなと思いました。

人生に少し疲れてしまったなと感じてしまった時は、このショパンの『バラード』を聴いてみては見てはいかがでしょうか。

頭では人生山あり谷ありとわかっていますが、時には感覚的に理解するという経験も大事ではないかと思います。

 

自分も年を取った時に深みのある『バラード』が弾けるように今を一生懸命生きたいですね。

ショパン『Chopin – Ballade No. 1 in G minor, Op. 23』